子宮筋腫を開腹により全摘した話

子宮筋腫を開腹手術で全摘出するに至ったその過程を追っていきます

入院2日目~手術当日

今日はいよいよ手術です。

昨夜は緊張して眠れないかと思いきや、案外ぐうぐう寝てしまいました。

そして朝食も完食。

 

朝6時半ころ、2回目の座薬(下剤)。またしてもきっかり10分後に便意を催してトイレに駆け込むも、あまり出ず。

昨夜、腸が空になるほど出したからそんなに出ないですよ。

 

8時ころ、手術用の前空きの寝間着に着替え、入院前に買っておいたT字帯と腹帯を用意してそのときを待ちます。8時半ころ、主治医がカーテンの隙間から顔をのぞかせ、「今日はよろしく」と言って去っていきました。

9時5分前には看護師が迎えに来てくれて、一緒に手術室へ向かいます。「あんまり緊張していないみたいですね」「はあ、もうちょっと緊張するかとおもったんですけどねえ」などと世間話をしながら。

 

9時、手術室へ入室。ここからは付き添いの人も入れません。前室に入ると、頭にシャワーキャップみたいなものをかぶります。そして、手術室へ。

 

いや~、さすがにこれは、緊張が走りますねえ。手術室なんか、テレビでしか見ないじゃないですか。ドラマのセットかと思うような部屋が目の前に展開されているわけですよ。明るく四角い部屋に緑色のリノリウムの床、青い手術用の服を着た医師とか看護師がせかせかと手術の準備を進めていて、なんだかわからない装置がいっぱい並んでいる。そして野球場の照明みたいなすごいライト。その下、部屋の中央に鎮座するのは、私がこれから寝そべる手術台。

これはなんだか、大ごとみたいだなあ。子宮筋腫の手術なんて大した手術じゃないだろうという印象だったけど、設備はちゃんと大掛かり。

一気に手術への恐怖と緊張が高まります。

 

本日の患者である私が部屋に入ると、スタッフがどっと動き始めます。タンカくらいの幅の狭い台に寝ころぶと、まず対面するのは麻酔医です。昨夜もあいさつに来てくれたんだけど、イケメンなんだ。ジャニーズ系というか。

そういえば書き忘れてたけど、主治医もイケメンです。どうなっているんだ、この大学病院はイケメンぞろいじゃないか。

イケメンはいいですねえ。煮るなり焼くなり好きにして♡という気分にさせてくれるもの。

 

さてさて、イケメンに見惚れている暇はなく、スタッフの指示にしたがい、まず硬膜外麻酔を入れます。背を丸めて横向きになっているのでまったく見えないのですが、背中をあったかい濡れ脱脂綿みたいなもので拭かれます。おそらく消毒。次に、麻酔を入れる前の麻酔が施されます。これがチクっと来た後じわっと痛い。その後麻酔が入るんですが、これは、腰の内側に手を突っ込まれたような、何とも言えない鈍痛が走り、思わず身震い。それで硬膜外麻酔の処置は終わって仰向きに戻れと言われるのですが、すでに下半身は完全に麻酔にやられてうまく戻れず、結局3人がかりくらいで戻してもらいました。

すると今度は口に酸素マスクがあてがわれ、「では点滴で麻酔を入れていきます」との合図。なんだか麻酔ばかりだな、大丈夫なのかな…などと心配している間に眠ってしまい、目が覚めたのは手術をすっかり終え、部屋を出てからでした。看護師に「勢楽美さん、終わりましたよ」とたたかれてもいまいち状況が分からず、まだ意識も朦朧としている中、付き添ってくれた母がいるのは分かったけれど、口を開く元気はなかったです。

 

部屋に戻ると次第に意識がはっきりしてきて、そしてまず感じたのが喉の違和感でした。妙にタンが絡んで呼吸がしにくいんですよ。そういえば全身麻酔の時には喉に呼吸を促すチューブを入れるため、しばらく声がかすれたり、歯が欠けたり抜けたりすることがあると注意されていたのでした。寝ている間に入れられて抜かれたのでどうなっていたのかは知る由もありませんが、なにかをされたのは、この猛烈な喉の違和感でわかります。一瞬怖くなって舌先で口の中を確認しましたが、大丈夫、歯は全部残ってる。

そして、最大の問題は下肢です。腰から下の感覚が、まったく戻ってきません。足を動かしてみろと言われるのですが、まるで石像になってしまったかのようにピクリともしないのです。これは苦痛でした。腰から下が石になったと考えてみてください、寝返りどころか上体をひねることもままなりませんから。

手術室から戻って2時間が過ぎてもまだ感覚は戻らず、看護師や麻酔医がかわるがわる来て微妙に違う見解を示して去っていくのをただ見送っていました。そして最終的には硬膜外麻酔を止められてしまいました

止められたらようやく感覚が戻り始めたものの、今度は腹の痛みが押し寄せてきます。当たり前です。痛みを軽減するための麻酔が止められたのですから。「足のしびれとおなかの痛み、どっちがつらいかですね~、どうしますか」と究極の二択を迫られるのですが、どっちもイヤだヨ~というのが正直なところ。

でも実は。

硬膜外麻酔は止められたけど、私には秘密兵器の安楽スイッチがあるのです

このスイッチを1回押すと、背中がスーッと冷たくなり、麻酔が一定量投入されます。するとあら不思議、おなかの痛みがすっと軽くなるのです。

これはいい!

医師からは「痛くなったらスイッチを押せばいいですよ」と言われたのでこれ幸いとばかりに連打。

いやっほ~、このスイッチさえあればなにも怖いものなんてな~い!

と、調子に乗って連打するまではよかったのですが、突然、あることに気が付きました。

あれ、足が動かない・・・

そう、スイッチで麻酔が入ると、なぜか腹より足に効く。それも右足だけ。右腰から足先までがまたしても石像になってしまいました。

これは怖い。

それからあんなに連打していたスイッチに触れることも怖くなってしまいました。

そして朝方まで腹の痛みに耐えることになるのです。